検査

当院では、淋菌、クラミジア、マイコプラズマ、ウレアプラズマ、梅毒、尖圭コンジローマ、性器ヘルペス、トリコモナス、カンジダ、HIV、B型肝炎、C型肝炎、HTLV-1の検査を行っております。

感染症に合わせて、尿検査、性器、肛門、咽頭うがい、血液検査、視診によって検査を行います。

検査料金については、検査費用のページをご覧ください。

検査方法

①尿検査・膣・陰茎・うがい・肛門

尿、性器の検体は患者様自身で採取していただきます。
特に性器の採取が不安な方はご相談ください。(1,100円で膣鏡を使って採取します。)

陰茎の表面検査は医師が視診と併せて行います。

肛門の検査は医師が行います。

②血液検査

看護師か医師が採血し、検査機関に送ります。

早いもので翌日に結果が出ます。(検査結果が出るまでの期間は診察の流れをご覧ください。)

③視診

医師が診察室で診察します。
女性の場合は、外陰部のみの視診と膣鏡を使った膣鏡診があります。

梅毒や性器ヘルペス、尖圭コンジローマの診察を行います。

検査までの期間

感染が疑われる機会(性行為、粘膜接触など)の後からすぐに検査ができるわけではありません。
仮に感染していても、検査結果が陽性となるまでに「ウィンドウピリオド」と言ってしばらく期間があります。

潜伏期間と相関性はありますが、検査推奨期間は性感染症によって異なります。以下の期間は感染機会からの期間を表記しています。

感染機会から期間がたっていない場合は感染が疑われる一通りの検査をし、その後推奨期間が長いもの(梅毒、HIV、B/C型肝炎)を再検査することをおすすめします。

潜伏期間

クラミジア:約1~4週間
淋菌:約2~7日間
マイコプラズマ、ウレアプラズマ:約1~5週間
トリコモナス:約10日~6か月間
梅毒:約3週~3か月間
HIV:約2~4週間
HBV/HCV:約1~6か月間

必ずこの期間に症状がおこるわけではありません。感染していても自覚症状がないことも多いです。

検査期間

最低期間

クラミジア:24時間後
淋菌:24時間後
マイコプラズマ、ウレアプラズマ:24時間後
トリコモナス:24時間後
梅毒:2週間後
HIV:2週間後
HBV/HCV:1週間後

陽性になる最低の期間です。実際に感染していても、陰性となる可能性があります。

推奨期間

クラミジア:5~14日後以降
淋菌:10日後以降
マイコプラズマ、ウレアプラズマ:5~14日後以降
トリコモナス:4~28日後以降
梅毒:2~8週間後以降
HIV:2~3週間後以降
HBV/HCV:2~10週間後以降

3日以内であれば性感染症予防のDoxy PEP(ページ下部の予防の項目参照)をおすすめします。

セット検査

フルセット

初めての方や、ブライダルにおすすめです。

セット内容:淋菌・クラミジア(性器・喉)、トリコモナス、カンジダ、梅毒、HIV、B型肝炎、C型肝炎、マイコプラズマ、ウレアプラズマ

標準セット

初めての方や、感染機会の多い方の定期的な検査におすすめです。

セット内容:淋菌・クラミジア(性器・喉)、マイコプラズマ・ジェニタリウム、トリコモナス、カンジダ/細菌性膣症(女性のみ)、梅毒、HIV、B型肝炎

標準セットライト

標準セットからマイコプラズマ・ジェニタリウムを除いたセットです。

セット内容:淋菌・クラミジア(性器・喉)、トリコモナス(女性のみ)、カンジダ/細菌性膣症(女性のみ)、梅毒、HIV、B型肝炎

性器咽頭限定セット

標準セットから血液検査を除いた検査です。
感染機会からの期間が短い場合におすすめです。

セット内容:淋菌・クラミジア(性器・喉)、マイコプラズマ・ジェニタリウム、トリコモナス、カンジダ/細菌性膣症(女性のみ)

おりものセット(女性)/尿道炎セット(男性)

感染の機会があった場合、症状がある場合におすすめです。

セット内容:淋菌・クラミジア(性器)、マイコプラズマ・ジェニタリウム、トリコモナス、カンジダ/細菌性膣症(女性のみ)

おりものセットライト(女性)

おりものセットからマイコプラズマ・ジェニタリウムを除いたセットです。

セット内容:淋菌・クラミジア(性器)、トリコモナス(女性のみ)、カンジダ/細菌性膣症(女性のみ)

淋菌・クラミジアセット

感染リスクが高い淋菌・クラミジアのセットです。
感染機会があった場合におすすめです。

セット内容:淋菌・クラミジア(性器・喉)

淋菌・クラミジア(性器)セット

感染リスクが高い淋菌・クラミジアのセットです。
症状がある場合におすすめです。

セット内容:淋菌・クラミジア(性器)

淋菌・クラミジア(咽頭)セット

感染リスクが高い淋菌・クラミジアのセットです。
性器も併せて検査することをおすすめします。

セット内容:淋菌・クラミジア(喉)

血液4項目セット

血液により検査できる項目のセットです。これまで検査をしたことがない方は、一度検査することをおすすめします。

セット内容:梅毒、HIV、B型肝炎、C型肝炎

血液3項目セット

血液により検査できる項目のセットです。これまで検査をしたことがない方は、一度検査することをおすすめします。

セット内容:梅毒、HIV、B型肝炎

即日検査

以下の項目の迅速検査はその日に結果が出ますが、精度がやや低く特に淋菌、クラミジア検査は精度が低いので基本的には迅速ではない検査をお勧めします。
(感染していても陰性と出ることがあります。検査には30分程度時間がかかります。)

  • 淋菌(女性のみ)
  • クラミジア(女性のみ)
  • 梅毒(既往のある方はできません)
  • HIV

個別検査

検体(尿)の検査(男性):淋菌、クラミジア、マイコプラズマ、ウレアプラズマ、トリコモナス、カンジダ
検体(うがい)の検査:淋菌、クラミジア
検体(膣拭い)の検査(女性):淋菌、クラミジア、マイコプラズマ、ウレアプラズマ、トリコモナス、カンジダ、細菌性膣症
検体(陰茎拭い)の検査:トリコモナス、カンジダ、亀頭包皮炎
検体(血液)の検査:梅毒、HIV、B型肝炎、C型肝炎、 HTLV-1

治療

淋菌

点滴による治療を行います。
飲み薬による治療もございますが、治療効果が出にくいことがあるため点滴治療をお勧めしております。

クラミジア

飲み薬で治療します。
1回の内服で治療するお薬と、1週間の内服で治療するお薬があります。

マイコプラズマ/ウレアプラズマ

飲み薬で治療します。
1回の内服で治療するお薬と、1週間の内服で治療するお薬があります。

梅毒

初期の梅毒であれば、1回の注射で治療できます。(現在、取扱中止しています)
お薬の内服の場合は、4週間の内服が必要になります。
当院では保険治療と同等のペニシリン系の飲み薬に加えて、アメリカなどでは主流の飲み薬もございます。
現在、ペニシリン系の飲み薬が入手困難であり、同等の効果のあるビブラマイシンでの治療を行っております。

性器ヘルペス

飲み薬で治療します。
再発で症状が少ない場合は塗り薬で治療します。

尖圭コンジローマ

液体窒素による凍結療法を行います。外用薬を併せて使用することをお勧めしています。
複数回の治療が必要になることもありますので、根気よく治療する必要があります。

カンジダ

膣錠で治療します。
飲み薬での治療もできます。

トリコモナス

飲み薬で治療します。
膣錠での治療もできます。

細菌性膣症/細菌性膣炎

膣錠で治療します。
飲み薬での治療もできます。

亀頭包皮炎

塗り薬で治療します。

予防

最も簡便で効果が高い方法はコンドームの使用です。
その他にも、ワクチン接種やDoxy PEPという手段があります。
費用に関しましては、検査と治療の費用をご覧ください。

ワクチン接種

性感染症の中でもHPVとHBV(B型肝炎ウイルス)はワクチンによりかなりの確率で予防することができます。
また、髄膜炎菌B型ワクチンで淋菌が約50%予防できるとされています。(海外品のため現在取り扱いなし)

HPV

HPVというウイルスを予防するワクチンです。尖圭コンジローマと子宮頸がんを予防することができます。
すでに感染している場合は効果がありませんのでご注意ください。

3回の接種が必要です。初回、2ヶ月後に2回目、初回から6ヶ月後に3回目を打つのがおすすめです。(2回目は最短1ヶ月後、3回目は2回目から最短3ヶ月後に接種可能です。)

ガーダシルは子宮頸がんの70%、シルガード9は子宮頸がんの90%を予防できるとされています。

HBV

2016年10月より定期接種になりました。つまり、2016年4月1日以降に生まれた方は無料でワクチン接種を受けることができます。
しかし、それ以前に生まれた方はご自身で予防接種を受ける必要があります。

ワクチンは最低3回打つ必要があります。3回打つことで、効果は20年以上続くと言われています。ただし、個人差があり、3回の接種で抗体がつかない場合もあります。
1回目のおよそ1ヶ月後に2回目、1回目から4〜5ヶ月後に3回目を接種します。

Doxy PEP

Doxy PEP(Doxycycline Post-Exposure Prophylaxis)は、ドキシサイクリンというお薬を使うことで、性感染症(性病)を予防しようという方法です。暴露後予防と言われ、性交後の72時間以内にドキシサイクリン(ビブラマイシン®️)を内服することで、梅毒、淋病、クラミジアなどの性感染症の感染リスクを軽減することがわかってきました。
参考(英語論文):https://www.nejm.org/doi/10.1056/NEJMoa2211934

PEPとPrEP

PEPに似たものにPrEP(Pre-Exposure Prophylaxis)というものがあります。こちらは暴露前予防で、主にHIVで行われている予防方法です。抗ウイルス薬をリスクのある性行為の前後に飲むことでHIVの感染率を80〜90%減少させる効果が期待できます。

期待される効果

Doxy PEPの主な効果は、性行為後の性感染症の予防です。この治療法を使用することで、梅毒、淋病、クラミジアなどの感染リスクが低減されるとされています。2022年の国際エイズ学会の発表によると、梅毒の予防効果は87%、クラミジアは88%、淋病は55%と報告されています。
別の報告では2/3程度というものもあるので大体60〜90%程度は効果があると考えられます。
2022年7月の国際エイズ学会での発表(英語です)
https://www.aidsmap.com/news/jul-2022/taking-antibiotic-after-sex-cuts-stis-two-thirds-doxypep-study-finds)

淋菌に関しては効果がやや落ちるので、ワクチン接種も併せて行うことが推奨されます。
髄膜炎菌B型ワクチンによって淋菌の感染率を約50%下げると言われています。(現在取り扱いはございません。)

飲み方と注意点

Doxy PEPの飲み方は、性行為後72時間以内にドキシサイクリン(ビブラマイシン)を200mg内服することです。内服のタイミングが重要であり、72時間以内に内服しないと効果が低下する可能性があります。理想としては性行為後24時間以内です。

また、内服後に腹痛、下痢、吐き気などの副作用が現れる場合があります。元々副作用の少ないお薬ですが、通常のドキシサイクリンの内服量よりもやや多いこともあり、副作用はやや出やすくなります。

すでに感染している場合は、細菌の耐性化を促す可能性があります。そのため、予防薬使用時に感染していないかの検査が必要になります。
(1ヶ月以内に当院での検査で陰性、もしくは陰性がわかる検査結果を持参していたければ代用可能です。)

また、抗菌薬(抗生物質)を日常的に飲むことも細菌の耐性化の観点から推奨されません。
そのため、当クリニックでは一度の診察で1~2回分のDoxy PEPしか処方しておりません。